第3回ニュルンベルク市スポーツクラブ国際交流受入事業報告 新町スポーツクラブクラブマネジャー・新町SVCスポーツ少年団 小出利一 第1日目 第2日目 第3日目 第4日目 第5日目 第6日目 第7日目 ドリスさんとミハエルさんの言葉 |
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【交流の歴史】 平成11年度に始まったニュルンベルク市国際交流事業は、おかげさまで3回目の受入事業を実施しました。この事業は、平成5年9月に私が日本スポーツ少年団指導者海外研修に参加した時に、当時のニュルンベルク市スポーツ少年団本部長ギュンター・シュタルク氏と出会ったことがきっかけとなりました。 また、同じ平成5年11月に今回も引率指導者として来町したミハエル・フォス氏がドイツスポーツ指導者グループとして新町に訪問し、当時、まだ、低学年団員だけのSVCが受入団体となり交流した時、風邪をこじらせて新町に訪問したため肺炎となり2週間の入院生活を送り、その時のすべてのホストファミリーが一体となって看病した結果、一命を取り留めて帰国を果たし、在日ドイツ大使館からお礼の言葉をいただいたこともこの国際交流の大きなきっかけとなっています。 私としては、平成5年度の出会いを大切にしてそれをきっかけに、将来、SVCのたくさんの子ども達が高校生に成長した時、日本スポーツ少年団が実施している日独同時交流だけに頼っていると、一生懸命に活動している青少年が私と同じようにドイツへ行くことができなくなる可能性を平成5年当時から考えていたことから、いつかは、独自に新町の青少年をドイツに派遣し、またドイツの青少年を受入れるプログラムを創ることを夢見ていました。 そのチャンスが6年後の平成11年夏にやってきました。日本スポーツ少年団常任委員の山岸先生から山形市と渋谷区で実施しているニュルンベルク市との国際交流受入事業に参加要請があり、ギュンター氏やミハエル氏が生活している都市であることと、すでに高校生も中学生も多数存在していたことから、このチャンスを逃すと絶対にあとがなくなると思い、たくさんの保護者の方々のご協力でこの国際交流事業が始まり、以後継続しています。 全国のスポーツ少年団において、定期的に同じ国の同じ都市と独自に交流しているスポーツ少年団で、しかも自治体の予算を使用していない団体はSVCだけです。 これは、SVCに所属するすべての人たちのご協力で成り立っています。 私は、新町の青少年がドイツに行って日本のすばらしさを感じ、ドイツにおけるスポーツと健康に対する考え方等を知るチャンスにし、ドイツに友人を作り、ドイツという国を好きになってほしいことと、日本にいながらにしてドイツの人たちとふれあうことができて、ドイツの青少年にも日本の文化を紹介できることが継続されることを望んでいます。 今年は、スポーツ振興くじからの助成を受けて実施することができました。 【交流日記】 第1日目(平成16年7月28日(水))晴れ(来日・歓迎パーティー) ニュルンベルク団一行を乗せたJAL408便は、予定よりも10分早く成田空港に到着しました。成田空港には私が出迎えました。 昨年の夏に訪問した時、一緒に行動したメンバーが13人中10人いることから直ぐにうち解けて、貸し切りバスで一路新町に向かいました。 途中、三芳PAで休憩した際、突然「たこ焼き」を購入して食べ始めたとき驚いたと同時に日本に対してかなり興味を持っていることを感じました。 新町には、予定通りレストラン「かがや」に19時50分に到着しました。 出迎えたホストファミリーも到着したニュルンベルク団一行も緊張した面持ちでしたが、昨年一緒に活動した新町のメンバーの顔を見て、ニュルンベルク団も少し緊張がほぐれたようでした。 「かがや」での歓迎パーティーでは、正式にホストファミリーと対面して倉嶌本部長の歓迎のあいさつとニュルンベルク団代表指導者のドリスさんの感謝の言葉をいただき、木村友佳指導者の乾杯で始まり、なごやかな雰囲気の内に今回の交流がスタートしました。 11時間の長時間フライトと時差で疲れもあるので、21時30分に歓迎パーティーを終了して、各ホストファミリーに向かいました。 <TOPへ>(町へ表敬訪問・日独料理体験・水泳交流・なぎなた体験) 本格的な交流が始まる日です。思わぬ台風の影響で朝から雨が強く降ったり日が指したりと忙しい天気の中、町長への表敬訪問から2日目のプログラムがスタートしました。ドリスさんとミハエルさんは、新町役場の訪問が3回目なので勝手知ったる他人の家ならぬ他国の役場となっています。町長が不在のため、秋山助役に対応して頂き30分間の表敬訪問は無事に終了しました。 その後は新町のユースボランティアとニュルンベルク団が、いっしょに新町中学校に移動して調理室を借りてお昼ごはんを一緒に作るプログラムを行いました。最初に、スーパーの買い物から始まるこのプログラム、歩いて駅南のスーパーまで楽しそうに行きました。スーパーの中では、日本のスーパーに興味津々で陳列棚を写真に納めていました。スーパーの店員さん達もたくさんの外国からのお客さんに緊張したり戸惑ったりと見ていてほほえましいシーンでした。 買い物終了後、中学校調理室で天ぷらや肉じゃがを倉林君のお母さんや富田拓夢君のお父さん、鮎澤さんのお母さん、新町中学校ALTのステファニーさんの協力と私の父親特製プロの手打ちうどんをおいしくいただきました。 美味しい食事をみんなで食べて、空を見上げて雨が時々降る中でニュルンベルク団のメンバーに「雨が降っているけれどプールに入りますか?」と尋ねたところ「もちろん入ります。」との回答で、元気よく新町のユースボランティアも参加して水泳交流も予定通りに実施しました。指導者としては、天気の変化がとても悩ましく、午後のプールを実施するのか否かの判断に苦しみたくさんの保護者の皆さんにご迷惑をおかけしたことをこの場を借りて謝りたいと思います。 水泳プログラムを行っているときは、まったく雨もなく、時々日が差して快適な時間となりました。ドイツ人とは、25年も付き合っていますがまったく変わらないことがあります。それは、水泳(プール遊び)が大好きなことです。本当にうれしそうに水の中で、はつらつとした交流となりました。新町のユースボランティアもニュルンベルク団の勢いで、突然、着衣水泳になってしまった人もいましたがともかく、楽しく交流できました。 昼間の交流がすべて終了した夕方には、天候も回復しそれぞれのホストファミリーで一休みになりました。 今日は、ハードなスケジュールになりましたが、18時30分から、新町住民体育館で「なぎなた体験」を行いました。 日本の伝統武道の体験は、今回派遣されてきたニュルンベルク団からも強い要望があったもので、国体選手も参加して本格的に2時間体験して貰いました。 また、新町の関係者も初めて「なぎなた」を見る人たちも多く、ニュルンベルク団のおかげで日本の武道を日本人が学習する良い機会を作り出しています。 演技の部と試合形式の部で試合も体験し、どちらもしっかりと暑い中でも真剣に取り組んでいる姿がとても印象的でした。このプログラムは、新町スポーツクラブのなぎなたクラブが全面的に協力していただいて毎回実施していますが、いつも大好評です。 大変ハードな2日目となりましたが、同じ世代がいっしょに調理をして意思疎通を図り、午後はプールで体を一緒に動かして楽しみ、夜は、ホストファミリーの皆さんが見守る中、真剣に日本文化を体験できたことでだいぶリラックスした雰囲気になったと感じました。 <TOPへ> 第3日目(平成16年7月30日(金))晴れ(バスハイキング) 今日は、「たくみの里」と水上高原プリンスホテルへバスハイキングです。 ホストファミリーの皆さんもユースボランティアと一緒に参加してにぎやかです。朝9時に新町駅に集合して天気予報とはまったく違う快晴の中を出発しました。車内は、ガイドさんが用意した「ビンゴゲーム」で盛り上がり、1時間で最初の目的地「たくみの里」に到着しました。 現地では、「和紙作りからお面作りグループ」と「お面作りから和紙作りグループ」の2班に分かれて行動しました。 このときのユースボランティアの活躍は、見事でした。自分たちも楽しみつつ、しっかりとみんなのお昼の場所を確保するなどしてくれました。ニュルンベルク団は、もちろん初めての体験となる日本文化のクラフト活動は、新町の人たちにとってもすごく新鮮味があるプログラムでニュルンベルク団からも大好評でした。その後、水上高原プリンスホテルに向かい、ゴルフの打ち放しを楽しみ、温泉にも入って、疲れを取りながらリラックスできました。 このころになると、ニュルンベルク団と新町のユースボランティアは完全に一体化した交流ができていました。 予定よりも1時間遅れて19時に新町駅に到着しました。小出梨乃さんは、インターハイ出場のために今日が最後の交流となるためニュルンベルク団に挨拶をしました。この時、マリオンさん達は、しっかりと応援することを涙しながら梨乃さんに伝えている姿が見られました。昨年の夏と今年と連続して交流していることから生まれる熱い友情を強く感じました。 <TOPへ> (茶道体験・ミニホストファミリデー・ナイタースポーツフェスティバル) 今日も晴れて暑い日となりましたが、いつもの蒸し暑さがなく快適な暑さ?になりました。午前中は、新井教育長の自宅で茶道体験を行いました。 慣れない作法、長い足を無理にしている正座、苦労はしているものの美味しいお菓子とお茶をいただいて満足そうでした。 ニュルンベルク団は、新町で茶道体験をしないと体験するチャンスがなくなるので急遽、新井教育長の奥さんにお願いして実現したプログラムでした。 この日、午後の時間帯はホストファミリーの皆さんと一緒に活動するミニホストファミリーデーでした。数軒が集まってのバーべキューや家族でショッピング等、思い思いに楽しみました。 ミハエルさんは、肺炎の時に真剣に看病した私の母のお墓参りをしてくれました。墓石を撫でながら、「ありがとう」を繰り返している姿が忘れられません。 私の母が亡くなる直前、日独スポーツ少年団同時交流の団長団として来日していた彼は、病床の母を見舞い、葬式には別れの手紙を霊前に捧げてくれた人でもあります。 ミハエルさんとドリスさんは、上武大学看護学部も見学しました。これは、ミハエルさんの本職がドイツの看護大学の先生をしていることと小学2年生の時から知っている小出智一君の通う大学と言うことで大変興味を持ったことから実現しました。上武大学の施設は、ドイツの施設を知っている彼も感心していました。 夜の時間は、中学校のナイター照明を点灯させてスポーツフェスティバルを実施しました。ニュルンベルク団が初めて体験するスポーツ「ドッジボール」、日本文化の和太鼓体験、みんなで大笑いしながらの障害物競走ととても楽しい時間となりました。 そして、もっとも盛り上がったのはニュルンベルク団が見せてくれたダンスでした。途中から新町のナイタースポーツフェスティバルに参加している人たちみんなが参加して楽しい交流がより一層深まりました。 しかし、ハプニングもありました。ミハエルさんが左足の甲を捻挫してしまいました。彼は、交流の歴史でも記したように病気で新町に大変お世話になっていますのでとても慌てたようでした。幸い、体重からくる負担からの捻挫と判断できたので安心しましたが、翌日のホストファミリーデーは、一日家で休ませることになりました。 <TOPへ> 第5日目(平成16年8月1日(日))晴れ(ホストファミリーデー) 今日は、終日ホストファミリーデーです。 東京に行った小島さん、松本市にお城を見せに行った礒部さんと倉嶌さん、高崎観音とショッピングに行った脇さん、日光に行った鮎澤さん、その他の斉藤さん、須賀さん、松本さん、富田さん、大野さん、丸茂さん、菊池さんと私は、鬼押し出し園と軽井沢に出かけました。ミハエルさんは、お留守番で私の家で智一君のドイツ語教師をしていました。 この一日で、ホストファミリーとニュルンベルク団の心がより一層深い交流になったようです。 <TOPへ> (群馬の森までサイクリング・高崎ショッピング・さよならパーティー) 今日も快晴、でも蒸し暑くなくてさわやかです。 そんな中、第一小学校に集合して群馬の森までサイクリングです。 若いから自転車が速く、私の自動車とほとんど変わらないスピードで到着。早速、芝生の広場や日陰でフリスビー等を使って交流が開始されました。 そこへ斉藤さんが自宅で栽培している「スイカ」をスイカ割り用に持ってきてくれました。しかも、食べるためのスイカは、別に冷やして用意してくれたのでみんな、大満足。 スイカ割りも初体験のニュルンベルク団、とても楽しそうにやっていましたが、力任せに叩くから、スイカではなくて棒が割れました。 そして、最も盛り上がったのは、氷を人の背中に入れていたずらをお互いにすることでした。ニュルンベルク団の人たちがあんなに真剣に走る姿を初めてみました。 午後からは、高崎駅周辺でショッピング。自転車を私の自宅にみんな置いて電車で移動しました。 お昼は、高崎駅西口のマクドナルド、一度に30数名がオーダーしたからお店の人たちも大変。レジがパンクして手計算になりました。 約3時間のショッピングタイム、女性のショッピング好きは日本もドイツも変わらないようでした。プリクラを撮ったり、100円ショップに行ったりと和気あいあいと楽しい時間になったようでしたが私には、大変な時間でした。 【最高の雰囲気だったさよならパーティー】 いよいよ、今回の交流のクライマックスとなる、さよならパーティーとなりました。丸茂さんのご好意でデイケアーセンターを貸して頂き19時30分から開始しました。今回のさよならパーティーは、ホストファミリーが手作り料理持ち寄って実施したものです。高橋町長の挨拶と町からの記念品贈呈、ドリスさんのからの謝辞とお世話になった人たちへのプレゼント贈呈がありました。また、この日のために遠藤さんのお母さま(87歳)が手作りした着物のミニチュアがニュルンベルク団へ贈られ、ニュルンベルク団から遠藤さんにお花を一輪ずつ贈呈する暖かい雰囲気もできました。このような雰囲気の中、新井教育長の乾杯の合図で最後の大イベントが始まりました。 記念写真を撮る人、今までの写真を見せ合う人、みんな笑顔です。 そして、最高潮になったのはニュルンベルク団の出し物の時です。自分たちがニュルンベルクスポーツクラブやっているスポーツをパントマイム形式で紹介した後で、スポーツフェスティバルで盛り上がったダンスをみんなでいっしょに踊ったときは、もう最高の気分でした。 ここまで、ニュルンベルク団に見せられて新町のユースボランティアも黙っていられない状態になり、ニュルンベルク団と新町の大人からのリクエストで突然南中ソーランを披露することになりました。小学生から大学生の団員達が南中ソーランの音楽とともに一斉に踊り出します。一年ぶりなので全員がぴったりというわけにはいきませんが、迫力満点でした。 このころ時計の針はすでに、22時を過ぎていましたが盛り上がっているので終わる雰囲気がありません。しかし、後片付けもあるので22時30分に終了しました。最後の夜が最高の雰囲気になったので、就寝になったのはどの家庭も深夜になったようでした。大野さんの家には、さよならパーティー終了後に菊池さんの家でお世話になっているルンジャさんが書道体験に行ったのですからびっくりです。 <TOPへ> 第7日目(平成16年8月3日(火))晴れ(再会を誓って別れの日) いよいよ最終日、新町駅に大きな荷物を持って10時集合です。 一週間前までは知らない人が、一つの家族になって別れを惜しんでいる姿は、いつも見ていて感動的なシーンです。 そこに、私が深夜に作業して作成した7/28から8/2までのアルバムをホストファミリーから手渡してみんなで懐かしそうに笑顔でのぞき込んでいました。列車が入って来ていよいよ本当にお別れの時、抱き合って泣いている人たちがいます。何度もお礼を言っているニュルンベルク団の人たち、それぞれがたくさんの思い出ができました。本当に楽しい一週間でした。言葉も文化も全く違うけれど同じ地球で生活する人間同士であることになにも変わらないことを体感します。 自分の友人が住んでいる国を憎むことはありません。みんながいろいろな国の人たちと友人になれば、戦争をする気持ちになりません。戦争をしたいのは、自分が権力者で力を誇示したいと考えているだけの低いレベルの人間だけです。 こんなことを考えながら、今回の受け入れ事業が大成功の内に終了したことを報告します。 ホストファミリーの皆さん、ありがとうございました。なぎなた、和太鼓、茶道体験を協力して頂いたみなさん、倉林さんをはじめたくさんの場面で協力して頂いたすべての人たちに感謝します。 ありがとうございました。そして、お疲れ様でした。 <TOPへ> 「こんなに心温まるさよならパーティーは、初めて体験した。ホストファミリーの皆さんが忙しい中でそれぞれが作ってくれた食べ物、青少年が率先して準備して美味しいお好み焼きを作る姿、お互いに感動させる出し物、年配の人から小さな子どもまでみんなが笑顔だった。町長さんや教育長さんもあんなに長くいっしょにいてくれた。ドイツの市長ならばあんなに長くいないよ。本当に楽しかった。ありがとう。 新町のプログラムは、青少年が作成して運営しているから派遣されている団員も大変有意義に日本の文化やスポーツを体験できた。そして、それを支えてくれたホストファミリーのみなさんの優しさに触れたドイツの若者が人と人が交流するために最も大切なお互いを思いやる心を学んだと思う。来年のニュルンベルク市受入は、この方法を参考にして考えたい。新町からは、指導者を除いて10人は来てほしい。みんなが待っているから絶対に10人はお願いしたい。」
−追伸- 新町のユースボランティア9名は、8月11日に東京で最後のプログラムを行っているニュルンベルク団と一緒に活動させていただき、東京で再会できることを楽しみにしていたニュルンベルク団一行もうれしそうに都内を一緒にショッピングしたり明治神宮に行ったりと楽しい交流の時間で締めくくりました。新町に戻る際には、新宿駅では涙、涙のお別れをして今回の国際交流受入事業を終了しました。 夜は、仕事が終わってから新幹線で国立オリンピック記念青少年総合センターに駆けつけた私とレインボーブリッジの夜景をみんなで見学して、美しい東京の夜景を思い出としお別れをしてきました。 そして、8月12日13時発JAL407便でニュルンベルク団一行は、無事に帰国の途につきました。 |